予期不安について詳しく教えて下さい。

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あがり症や対人恐怖を改善しようと調べていくなかで、予期不安という言葉を聞きました。予期不安について詳しく教えて下さい。



実際にその状況に置かれる前に、すでにそれに対してネガティブな考え方をしてしまうこと。これが予期不安と呼ばれるものです。





他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学(クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン著、紀伊國屋書店)P.96より


 <社会不安>を感じる人は、実際にその状況に置かれる前に、すでにそれに対してネガティブな考え方をしてしまうことがある。これは<予期不安>と呼ばれるもので、いわゆる<最悪のシナリオ>を作りだす原因となる。

 つまり、何かが実際に起こる前から、起こりうるなかでも最悪の仮説を頭のなかで組み立て、「きっとそうなるにちがいない」と思い込んでしまうのだ。(中略)

 <予期不安>は繰り返される。彼らは、最悪の仮説を積み上げることで、悪夢のストーリーを作り出す。しかも、そのストーリーは相当に現実離れしていて、実際にそうなることはほとんどない。にもかかわらず、<社会不安>を感じる人は、次もまた懲りずに似たようなストーリーを作り上げてしまうのだ。


 予期不安とは読んで字のごとく「予期(前もって期待すること)不安(心配に思ったり、恐怖を感じたりすること)」です。

 不安を感じる状況でのものの見方には、その状況と対峙する「事前」、「最中」、「事後」という時間の経過別に三つが考えられますが、予期不安はこのうちの「事前の不安」にあたります。実際にその状況に置かれる前に、すでにそれに対してネガティブな考え方をしてしまうこと。これが予期不安と呼ばれるものです。

 では、なぜあがり症や対人恐怖症の方は予期不安を感じるのでしょうか。

 本書によれば、それは実際に“不安を感じる状況”に立ち向かう前に、心の準備をしておこうとするためだといいます。人間はつねに、意識的・無意識的にこの「仮説を立てること」や「心の準備をすること」をしながら一つ一つの行動を起こしています。

車を運転しながら死角の多い曲がり角を曲がる。

深夜にもの音のする方へおそるおそる近づく。

 などなど、あなたも一日のなかであらゆる場面で“心の準備”をしながら行動をしているはずです。危険を回避するための生物のメカニズムとして、私たちはごく自然に予期不安を感じながら日々を過ごします。あがり症や対人恐怖症の方はこの予期不安を感じる傾向が特に強いといいます。そのせいで

「何かよくないことが起こるのでは?」

「身の破滅を招く大惨事に遭うのではないか?」

 と常にびくびくしながら過ごしてしまうのです。これが予期不安というものです。