あがり症や対人恐怖とエフィカシー(自己評価)はどんな関連性がありますか?

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あがり症や対人恐怖を改善する方法の一つとして“エフィカシー(自己評価)を上げる”というアプローチを耳にしました。あがり症や対人恐怖とエフィカシー(自己評価)はどんな関連性がありますか?





あがり症や対人恐怖といった社会不安とエフィカシー(自己評価)は密接な相関関係にあることが研究によって証明されています。





他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学(クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン著、紀伊國屋書店)P.92より


 <社会不安>を感じる人は、自分自身に対するネガティブな思い込み、つまり、低い自己評価をしてしまいがちである。自己評価の低さは、<うつ>を筆頭にさまざまな心理的な障害をもたらす源となっており、<社会不安>とも密接な相関関係にあることはすでに研究によって証明されている。

 自己評価が低い子どもはティーンエイジャーや大人になった時に<社会不安>を感じやすくなる、というデータもあるのだ。


 別のよくあるご質問の中で、プロスポーツのコーチングの基本はエフィカシー(自己評価) であり、「自分は世界最高だ、最強だ」というイメージをいかにもたせ、維持させるか。強みやポジティブな要因については徹底的に認識させ、意識を強化していく。逆に弱点やネガティブな要因はいっさい考えないように意識を誘導する。そうすることで絶対的な自己評価を確立させる。という話を紹介しました。

 本書によれば、一般的に人は外見、学業の成績、仕事の実績、社会的地位、身体能力など、実に多種多様な基準でこのエフィカシー(自己評価)を下しているといいます。例えばそれは、

ルックスは人並みだけど、語学力には自信がある。

勉強は全くダメだけでど、運動神経だけは抜群だ。

仕事はまぁまぁだけど、友達を作るスキルは長けている。

といった具合です。

 一方で、あがり症や対人恐怖といった社会不安を感じる人はどうでしょうか。

 別のよくあるご質問の中で、あがり症(対人恐怖症)の方は、“かくあるべし”という考えが非常に強いという特徴を持つ。常に完全を求め過ぎる。高すぎる理想を抱いてしまう。これらを理由に現実とのギャップに苦しむ。理想と違う自分に劣等感を感じてしまいがちである、という話を紹介したことがあります。

 あがり症や対人恐怖症の方の傾向としては、エフィカシー(自己評価)の基準を一般の“それ”よりもずっと高いレベルに設定しまうといいます。「頭がよくて、スポーツ万能で、ルックスも抜群でなければ。そうでないと、他人から好かれないし、自分自身にも満足できない」。そう思ってしまうのです。

打率4割以上を打たなければプロ野球選手として生きていけない。

時速200キロのボールを投げられなければ打者は抑えられない。

毎年100ゴールを決めなければプロサッカー選手ではない。

 こんな非現実的で高すぎる理想を掲げるプロスポーツ選手がいたら、滑稽すぎてバカにされるかもしれません。こんな基準で自己評価を下していたら、いくらコーチングによってエフィカシー(自己評価)を高めることができたとしても、自分の求める理想(基準)と現実のギャップに悩んでしまいます。

 これは少し極端な例かもしれませんが、多かれ少なかれあがり症や対人恐怖症の方はこれと同じことを対人関係においてやってしまっているのです。