あがり症(対人恐怖症)の人はどんな特徴がありますか?

あがり症克服方法  > よくあるご質問(FAQ)  > あがり症(対人恐怖症)の人はどんな特徴がありますか?


あがり症(対人恐怖症)の人はどんな特徴がありますか?

あがり症の人は以下のような特徴があります。


 笠原(1977) は対人恐怖症者の対人関係の特長について、①「半知り」の人たちを避けること、②同年輩者が苦手なこと、③小人数グループのなかに居るときに困ること、④二人でいるときはよいが、三人になると困ること、⑤漫然たる雑談的関係を避けたがること、以上の5点をあげており、笠原(1969) では山下と同様に「他者を傷つけることをおそれる」ことを指摘している。


 上記の論文にもある通り、あがり症(対人恐怖症)の人は対人関係において

1. 「半知り」の人たちを避ける

2. 同年輩者が苦手

3. 小人数グループのなかに居るときに困る

4. 二人でいるときはよいが、三人になると困る

5. 漫然たる雑談的関係を避けたがる

 という特徴があります。


1. 「半知り」の人たちを避ける

 半知りとは、特に親しくないけれども顔見知り人をいいます。あがり症の方はこの傾向が強い特徴があります。

2. 同年輩者が苦手

 同年輩とは同じ年頃という意味。「半知り」の人たちの中でも自分より極端に年上の高齢者、あるいは自分よりも極端に若い赤ちゃん等は全く気になりません。あがり症(対人恐怖症)の人は自分と歳の離れた人たちとはなんら対人関係に問題がないことが特徴の一つです。これに対し、同じ年頃の人たちの場合強く苦手意識を持ちます。同性よりも異性に対してこの苦手意識が強いといいますが、同性であっても同年代の対人関係には強い緊張が生じるのが特徴です

3. 小人数グループのなかに居るときに困る

 あがり症(対人恐怖症)の人の特徴の一つとしては、小人数のグループにいるだけで息が詰まるというものがあります。特に少人数のグループを構成する人が上記のように同年輩である場合、非常に強い緊張を感じます。同年輩の対人関係を必要とするクラブ活動や修学旅行の班行動などがこの条件下に当てはまるといえます。一方で、少人数グループが大きな集団になるとこの傾向が弱くなります。あがり症(対人恐怖症)の人の中には「大きな集団を前に話をするのは意外と平気」という人もいます。

4. 二人でいるときはよいが、三人になると困る

 あがり症(対人恐怖症)の人の特徴の一つに「二人のときは良いが、三人になると不安になる」というものがあります。前述のとおり、あがり症の方は同年輩者(その中でもとりわけ異性)に対して強い緊張を覚えます。しかし、異性との対人関係においても“自分と異性の二人だけ”という場合では強い緊張を感じない。二人だけなら上手く話すことができるという傾向があります。

 一方で、二人だけの対人関係が三人に増えると一気に緊張が高まります。たとえ、それが同性であっても強い緊張が生じます。二人でいるところにもう一人加わるだけで耐えられなくなってしまうのです。この場合、三人目が誰であるかは大きな問題ではないといいます。重要なポイントは「その人(三人目の人間)にどう思われるか?」が気になってしまうということです。

5. 漫然たる雑談的関係を避けたがる

 あがり症(対人恐怖症)の人は、漫然たる雑談的関係を避ける傾向があります。漫然とはとりとめのないさま。漫然たる雑談的関係とは、特にテーマが決まっていない雑談をさします。こういう場合、あがり症の人は「間がもてない」と強く思います。沈黙や微妙な間に耐えられなくなり、間をあけないようにいたずらに喋る、振る舞うといったことがあがり症の人の特徴です。

 例えば、入学式の日。学校から帰る際にその日初めて知り合った友人と帰る。この場合、互いに人間関係が出来上がっていないので沈黙や微妙な間が気になる。同じ方向に帰るという理由だけで放り出された対人関係の場(電車の中)で微妙な間が気になる。結果として間を埋めようと必死に喋る。こんな経験はないでしょうか?一方で、卒業式の帰り道、数年来の友人とともに電車に乗る。当然、知った仲なので沈黙が気にならない。数十分喋らずに目的の駅に着くこともある。その間、互いに携帯電話を操作するなど、全く関係のないことをしていても気にならないという状況になります。あがり症を克服しようとする患者さんも、病状が良くなるに連れて、治療者の前で沈黙できるようになるという傾向があります。