なぜ暑くもないのに緊張すると手に汗をかくのですか?

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緊張すると汗びっしょりになってしまうことがあり、とても恥ずかしく感じます。なぜ暑くもないのに緊張すると手に汗をかくのですか?




人間がかく汗には2種類あります。そのうち一つが緊張や不安によって分泌される「精神性発汗」です。本来は、手などの特定の皮膚を湿らせてその摩擦を増すことを目的としています。





精神科医が書いたあがり症はなぜ治せるようになったのか
(木村昌幹著、現代書林)P.52より


 緊張すると汗をかくというのも、交感神経によるストレス反応です。

 汗には暑いときに出る「温熱性発汗」と、緊張したり不安に感じたりするときに出る「精神性発汗」があります。ですから、緊張したときに汗をかくこと自体はなにも異常ではありません。


 本書で紹介されている通り、人間がかく汗には2種類あります。そのうち一つが「温熱性発汗」です。

 これは、気温の上昇などで体温が上がるのを防ぐ、体温調節のために分泌される汗で、一般的に「汗をかく」と言われてイメージするのがこの温熱性発汗ではないでしょうか。この汗は、生命維持には欠かせないとても大切な機能、生理現象です

 一方で、緊張したり不安に感じたりするときに出る「精神性発汗(mental sweating)」と呼ばれる汗があります。

 この汗の本来の目的は、手などの特定の皮膚を湿らせてその摩擦を増すことを目的としています。摩擦が増すことで、たとえば「獲物をしっかり握ることができる」、あるいは「道具を持つ際にすべり止めになる」などの効果を得ることができます。精神性発汗はこの名残と言われています。

 現代において、発汗恐怖が強い方は通常では考えられないほど多量の汗をかいてしまうといいます。それもそれほど緊張するような場面でないときに、大量の汗をかいてしまう人が実際にいらっしゃいます。

 たとえば、スーパーに入って何か飲み物を購入する。この際に硬貨を店員さんに渡そうとして、その硬貨が汗でびっしょりになってしまう。紙幣なども濡らしてしまうために本人はそれが気になってしょうがなくなってしまう。これがきっかけとなって対人関係を回避しようとする方もいらっしゃいます。