あがり症はどういうメカニズムで劣等感を抱くのですか?

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人前であがってしまう。吃ってしまう。赤面してしまう。そんな自分に劣等感を感じてしまいますが、どういうメカニズムでこういう劣等感を抱くのでしょうか。




一言でいってしまえば、“かくあるべし”という考えが非常に強いことが劣等感を生んでしまうと言えます。



森田療法(岩井寛著、講談社現代新書) P.53より

 神経質者の性格の特徴を考えてみると、一言でいってしまえば、“かくあるべし”という考えが非常に強い性格である。換言すれば、これは1つの教条主義である。

 人間性を無視し、状況を無視して、自分勝手に“かくあるべし”という結果を求めるならば、現実にはそれが実現しないばかりか、かかわりをもつ他者に困惑を与え、それによって自分も傷ついたり、苦しんだりすることになる。

 たとえば、「人前であがらずに話せるべきである」という命題を自分に下すならば、人前で話すときに吃(ども)ったり、ドキドキしたり、顔が赤くなったりする自分は駄目な人間であるということになる。

 その結果どうするかというと、人が自分をおかしく見ているであろうというように、人に自分の苦痛の責任を転嫁するか、こんな自分は駄目な人間であるというように、自分の内に劣等感を肥大させることになる。


 「斯(か)くあるべし」とは、「このようなものであるべきだ」という意味。また、「教条主義」とは「状況や現実を無視して、ある特定の原理・原則に固執する応用のきかない考え方や態度」をいいます。

 本書でも紹介されているように、「あがり症(対人恐怖症)の方は、この“かくあるべし”という考えが非常に強い」という特徴を持っています。

常に完全を求め過ぎる。

高すぎる理想を抱いてしまう。

 これらを理由に現実とのギャップに苦しむ。理想と違う自分に劣等感を感じてしまいがちです。

 人前であがってしまうのは決して珍しいことではありません。ごく自然なことです。言うは易く行うは難しですが、この事実を理解すれば、自分に高い理想を課すことはありません。できなくて当然なので、自分に劣等感を感じることはありません。

 人前であがってしまう。吃ってしまう。赤面してしまう。そんな自分に劣等感を感じてしまうのは「かくあるべし」という考え方が強すぎることが原因の一つと言えます。