緊張や不安を感じるとどうして赤面や発汗、震えが起きるのですか?

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緊張や不安を感じるとどうして赤面や発汗、震えが起きるのですか?


人間は不安や緊張といったストレスがかかる状況に置かれると、その状況に立ち向かおうとして身体が自然に反応するしくみになっています。




 強い緊張や不安を感じるとどうして、顔が赤くなる、手に汗をかく、身体が震える、声がうわずる、といったことが起こるのでしょうか。実は、こういった身体反応が起きるのは“生物学的にしっかりと意味のあること”であって、決しておかしなことではありません。

 顔が赤くなる、手に汗をかく、身体が震える、声がうわずる、といったことは俗に“ストレス反応”と呼ばれるものです。

 人間は不安や緊張といったストレスがかかる状況に置かれると、その状況に立ち向かおうとして身体が自然に反応するしくみになっています。ストレスを感じると、体内でアドレナリンのような化学物質やホルモン物質が分泌される。その結果として、心臓がドキドキする。、呼吸が速くなる、筋肉が緊張する、といったことが起こります。

 これは人間が“行動に移るための準備をしている”のです。


他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学(クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン著、紀伊國屋書店)P.67より


 こうした反応は、人類の「生命維持」、さらに言うなら「種の保存」に関わる根本的なものである。

 なぜなら、私たちの祖先は、不安を感じたら、すぐに「逃げるか、戦うか」しないと生き延びることができなかったからだ。彼らにとっての不安を感じる状況とは、トラやライオンなどの捕食動物や他の部族の人間から、命を狙われることだった。

 だから彼らは、すぐにでも逃げたり戦ったりできるよう、身体が準備をするようになったのである。それは、人間以外の動物でも同じことだ。動物のなかには、不安を感じると、体毛が逆立ったり、身体の色が変わったり、あるいは身体の一部が膨らんだりするものがある。

 おそらく、自分の身体を実際以上に大きく強く見せることで、敵を威嚇して追い返そうとしたのだろう。とにかくこういった理由から、不安を感じると<身体反応>が起こる、というメカニズムが作られてきた。

 その結果として、不安=「生命の危機にさらされること」ではなくなった現代においても、<身体反応>だけは残ってしまったのだ。


 カマキリを前に指を近づければ、カマキリは体を起こし、鎌を引きつけながら左右に広げ、羽を立てて威嚇をします。ネコは不安を感じると毛を逆立て、しっぽを太く立て牙をむき出しにして威嚇をします。これらも人間が手に汗をかいたり、赤面するのと動揺に本書で述べられているような一種の身体反応です。

 別のよくあるご質問でも、緊張や不安を感じた時にかく汗は、手などの特定の皮膚を湿らせてその摩擦を増すことを目的としている。摩擦が増すことで、たとえば「獲物をしっかり握ることができる」、あるいは「道具を持つ際にすべり止めになる」などの効果を得ることができるといった効果をもたらす、と紹介しました。

 強い緊張や不安を感じた時に身体にあらわれる反応は“生物学的にしっかりと意味のあること”であって、決しておかしなことではないということをぜひ理解しておいて下さい。