あがり症(対人恐怖症)は治療して治るものでしょうか?

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あがり症(対人恐怖症)は治療して治るものでしょうか?


ある調査では、治療によって「全治」が概ね40〜70%。それに続く「軽快」が全体の60〜90%。治療による改善の可能性が高いというデータが残っています。




 調査として、最も大規模に行われたものの一つはの、鈴木(1979)によるものである。鈴木は、森田療法により入院治療を行った患者に、退院時より二年以上たった時点でアンケートを送って改善状態を調査し、453例の対人恐怖症例について回答を得ている。この鈴木の調査では、改善の様子は段階を設けて調べられており、その際の治癒の段階の設定には二つの観点が含まれている。すなわち、主観的な側面については患者の自覚する恐怖心の程度、客観的側面については恐怖心による日常生活への影響である(表1)。(中略)

 実際の結果としては、表2のように、「全治」という表現で報告されたのは概ね40%から70%の患者があてはまり、それに続く「軽快」と表現される段階まで含めて治療が効果的であったとされたのは、全体では60%から90%の範囲であった(新福,1968;阿部,1975;高木,1977;牛島,2000)。


 ここで紹介されている表は以下の通りです。


表1 鈴木による基準

全治 A段階:対人恐備の不安症状をほとんど考えることなく、活動的に勉強勤務している 11%
B段階:対人的の症状は意識されるが、それを不安と感ずることなく、活動的に勉強勤務している 40%
軽快 C段階:対人的の不安はあるが、日常の生活は一応普通にできる状態 46%
D段階:対人恐怖の不安症状のために、治療前と同様に日常の生活ができない 2%


表2 森田療法家による治療効果

報告者 治療時期 例数 全治 軽快 不変他
宇佐玄雄 1919-1926 126 86.7% 13.3% 0.0%
高良武久 1929-1937 541 58.4% 35.5% 6.1%
与良健 1949-1953 406 63.3% 16.2% 20.5%
鈴木知準 1963-1974 453 54.1% 41.5% 4.40%
阿部亮 1971-1972 139 50.6% 36.7% 12.9%
中村敬 1972-1998 58 22.4% 39.7% 37.9%

 全治とは、病気やけがなどが完全に治ること。また、軽快とは病気がよくなること。症状が軽くなることを意味します。

 調査対象が特定の治療法を受けに来た患者であるという偏りは否めないものの、調査は組織化された研究として数量的に行われており、信頼に値する数値です。もちろん治療結果には個人差があります。ただ、これらの調査結果から「あがり症(対人恐怖症)が治療によって大きく改善する可能性が高い」ということも明らかになっています。