催眠療法であがり症が治ると聞きましたがうまくいきません。

あがり症克服方法  > よくあるご質問(FAQ)  > 催眠療法であがり症が治ると聞きましたがうまくいきません。


催眠療法であがり症や対人恐怖症が治ると聞きました。ただ、何度かチャレンジしているものの、なかなか治る兆しがありません。どうしたらいいでしょうか?




催眠療法がある種の神経質症に有効であることは事実ですが、万人に効く方法とは限りません。一つの方法にこだわることなく他の方法を試してみてはいかがでしょうか?




森田療法のすすめ(高良武久著、白楊社)P.168より

 催眠療法がある種の神経質症に有効であることは事実だが、純粋な神経質症がその適応症とは認められない。(中略)

 ある治療家は「自分は健康になった。病気はなおった。元気に満ちている。こわいものはない」などと念ずることによる自己暗示の作用で患者をなおそうとする。しかし、事実を直視しないで、いたずらに臭いものにフタをしていて、しかも思想の矛盾に陥らなければ幸いというほかはない。

 羞恥の情は自然に備わっている人情であるが、それを無視して「少しも恥ずかしいことはない」といかに念じたところで、恥ずかしいというのは事実であるから、恥ずかしくないという思想と一致するはずがない。

 かえって(中略)症状を悪化させることになろう。


 小手先の話し方やコミュニケーションのテクニックを身に付ける。あるいは、催眠療法による自己暗示であがり症や対人恐怖を改善しようとする。あがり症や対人恐怖症を克服しようとした場合、こういったアプローチ方法を勧められる場合があります。

 確かにこれらの方法がある種の神経質症に一定の効果を示すことは事実かもしれません(ここで、これらの手法を全て否定するつもりもありません)。

 ただ、本書の言葉を借りると、これらの「事実を直視しないで、いたずらに臭いものにフタをすること」を続けていても“根っこの部分を治癒すること”にはつながりません。小手先のテクニックを身につけるだけ、あるいは一時的な効果を得るだけで、いつ再発してしまうかわからなくなってしまいます。これらのアプローチは、言わば“絆創膏で傷を覆い隠すだけ”に過ぎないのです。

 催眠療法がある種の神経質症に有効であることは事実ですが、万人に効く方法とは限りません。一つの方法に固執することなく、かえって症状を悪化させる前に他の方法を試してみてはいかがでしょうか。