人前で字を書くと緊張で手が震えます。どう対処すればいいですか?

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社会人2年目。営業職です。私は人前で字を書こうとすると緊張で手が震えます。社内会議などであればまだしも、外で顧客と会う時、1対1の状況で書類を作成する時も緊張で手が震えてしまいます。こういう時はどう対処すればいいでしょうか。





最初にとるべきアプローチは「人前で手が震えるのはごく自然なことである」ということを認識することです。



森田療法のすすめ(高良武久著、白楊社)P.121より

 神経質症状の起こる動機は、このように誰でも、時と場合によって経験する平凡な事柄にすぎない。

 あるサラリーマンが上役の前で字を書くとき、緊張して手がふるえた。こんなことは別に病的でも何でもない出来事である。だから正常人はそれを特別重大事と見ないで、そんなものと心得てそのまま書くことに集中していくうちに、落ちついてきてふるえずにすむのである。(中略)

 症状の発生する動機は、別に重大なことでもない平凡事にすぎないのであるが(中略)この何でもないことを自分に特別な何か異常なことのように受け取って、それからいろんなからくりを作って症状化させてしまうのである。


 あがり症や対人恐怖を克服するためのアプローチは様々ありますが、その一つに“森田療法”というものがあります(森田療法に関しては、専門書籍は数多く出ていますので、その背景や内容は本を読んでみることをおすすめします)。

 さて、ご質問頂いた内容をこの“森田療法的”に回答すると、最初にとるべきアプローチは「人前で手が震えるのはごく自然なことである」ということを認識することです。

 ただ、実際、言うは易く行うは難しです。あがり症や対人恐怖症の方にとっては「それが出来れば困らない」そう思うかもしれません。しかし、本書でも紹介されているとおり、目上の人間やお客さんの前で字を書こうとすれば

自分の書いている字が汚いと思われるのではないか。

自分が漢字を書けないことで駄目な人間だと思われるのではないか。

書き順がめちゃくちゃな字をかけば教育を疑われるのではないか。

 などなど、誰しも多少の不安や緊張を覚えるものです。これはあがり症や対人恐怖症の方に限った話ではなく、誰しも経験することです。

 一方で、あがり症や対人恐怖症の方はこの意識が他人より強くなってしまうのが特徴です(これが強くなりすぎると、ふるえまいとする努力の緊張で、書字運動がなめらかにいかない。書痙という病状に発展してしまいます)。

 ですから、第一歩としては「人前で手が震えるのはごく自然なことである」ということを認識することです(繰り返しますが、言うは易く行うは難しです。また、あがり症や対人恐怖を克服するアプローチは森田療法以外にも存在します。どうぞ参考にして頂ければと思います)。