スピーチ恐怖について詳しく教えて下さい。

あがり症克服方法  > よくあるご質問(FAQ)  > スピーチ恐怖について詳しく教えて下さい。


私は人前で発表したり、スピーチできません。調べてみるとスピーチ恐怖というらしいですが、スピーチ恐怖について詳しく教えて下さい。




社会不安障害の症状としていちばん多いのが
「スピーチ恐怖」です。


 大勢を前に話をする、挨拶をする。初対面の人が集まったグループで自己紹介や簡単な話をする。結婚式や同窓会、ゼミの飲み会や親戚同士の集まりでスピーチをする。こういう場合、だれでも緊張するものです。徐々に自分の番が近づいてくるにつれて心臓がドキドキする。手に汗をかく。これはごく普通の反応です。

 ただ、多くの人は、こういった緊張を覚えながらもなんとかこの状況を乗り切ります。決して上手く話すことやスピーチできなかったとしてもなんとか終わらせる。しどろもどろになりながらもスピーチし終える。そういう経験を重ねるうちに少しずつ、そういった状況に慣れていくものです。

 しかし、ときには緊張のあまり頭が真っ白になってしまう。体や手足がブルブル震える。まったく言葉が出なくなってしまう。自分でも何を言っているのかわからなくなってしまう。いわゆるパニック状態に陥ってしまう人がいます。これが「スピーチ恐怖」になるきっかけと言えます。


精神科医が書いたあがり症はなぜ治せるようになったのか
(木村昌幹著、現代書林)P.47より


 いくら理性的で頭の良い人でも、こうなってしまうと何もできなくなってしまうようです。みんなの視線は、すべて自分に集まっています。その自分は、しどろもどろになって何もできず、この場を終わらせることもできない。本人にとっては、恐怖とさえいる感情に襲われているでしょう。(中略)

 人にはプライドというものがありますから、そのような自分を恥ずかしいと思うのが当たり前です。強い劣等感を感じることでしょう。屈辱と自己嫌悪で、その人の心はとても傷つきます。

 いったん、このような恐怖を経験すると、どうでしょうか。(中略)次に同じように人前で話をしなければならない機会があれば、「きっと自分は、また同じようにみっともないことになってしまう」と考えてしまいます(予期不安)。

 その考えはまた恐怖を呼び起こしますし、よけいに緊張を大きくしてしまいます(精神交互作用)。だから、同じような結果になってしまうのです。


 いったん、上記の負のサイクルに入ってしまうと、この繰り返しでスピーチ恐怖はどんどん悪化していってしまいます。そして、最終的には「結婚式に招かれたけど友人代表としてスピーチを頼まれたから、言いわけをつくって欠席する」

 あるいは、「社内で昇進の話を持ちかけられたけど、昇進すれば挨拶や人前での発表も多くなる。多くの顧客の前でコンペとして話す機会も増えてしまうかもしれない」そう思って、昇進のチャンスを棒に振ってしまうことすらあります。

 人生の大切な出会いやチャンスを自分から避けるようになってしまう。これが「スピーチ恐怖」の方が陥りがちな状況です。