私はあがり症ですが、いったい自分の頭のなかで何が起きているのかわかりません。どうして人前に出るとこんな自分になってしまうのか自分でもわかりません。あがり症の人間の頭のなかはどうなっているのでしょうか? |
あがり症をはじめとする社会不安の方に多い傾向として、脳というコンピュータで6つのエラーが起こっていると考えられています。
他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学(クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン著、紀伊國屋書店)P.175より 私たちの脳は、一定の理論に従って性格にはたらくコンピュータとは違って、情報を処理する際にしばしばエラーを起こしたり、独特の癖や傾向を示したりすることがある。
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本書では、あがり症をはじめとする社会不安の方に特に多い、“脳というコンピュータが起こす6つのエラー”が紹介されています。
1.情報を偏って選別する。
社会不安を感じる人の脳の情報選択には、偏りがあることが多いとされます。例えばグループのなかで自分が話をしている場合。真剣に話を聞いてくれている人のことを見ようとせず、あくびをしている人やよそ見をしている人、難しい質問や批判する人のことだけが気になってしまう。そういた情報のみを偏って選別してインプットする。
2.根拠のない結論を下す。
あるひとつの事象はさまざまな解釈をすることが可能ですが、社会不安を感じる人の脳は「彼はぼくを批判しようとしている」、「私は彼女に嫌われている」など、証拠もないのに勝手な結論を下してしまいがちです。
3.自分のせいだと思い込む。
自分の周りで起きたことについて自分のせいだと思い込みがちです。ただ、あなたの周りで起きていることは必ずしもあなたが原因だとは限りません。
4.よいことを過小評価し、悪いことを過大評価する。
うまくいった時は自分の努力の賜物だとは考えず、うまくいかなかった時は自分の力不足のせいだと思ってしまう。よいことは誰か別の人のおかげで、悪いことは自分のせいだと思い込む。そんな特徴があります。
5.たったひとつの結果をすべてだと思い込む。
ものごとを極端に一般化してしまうのも社会不安を感じる人の特徴です。たった一度の結果をすべて考えてしまうため、発言には「いつも」、「決して」、「みんなが」、「誰ひとりとして」などの言葉がたくさん出てくる。
6.オール・オア・ナッシングと考える。
社会不安を感じる人には、ものごとをちょうどよい加減でとらえることができない人が多くいます。善か悪か、成功か失敗か、白と黒の中間のグレーゾーンを一切無視してしまう傾向にあります。
人間の脳はコンピュータほど完璧ではありませんから、当然エラーを起こします。ただ、あがり症をはじめとする社会不安を抱える人はこの傾向が特に強いといえます。こうした脳のエラーを発見し、改善していくことはがあがり症をはじめとする社会不安を克服していくのに非常な有効な方法です。