試験本番で難しい問題を解く場合、緊張を上手く回避する方法はありますか?

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私は試験のたびにひどく緊張してプレッシャーに押し潰されそうになります。試験勉強では良い成績を残せても、試験本番はなかなか上手くいきません。試験本番で難しい問題を解く場合、緊張を上手く回避する方法はありますか?





大きなプレッシャーのなかで難しい問題を解き始める前に一度手を止める。そうやって状況を判断する。実際、問題から数分間、離れてみるだけでも、より適切な解決方法が見つかりやすくなります。






なぜ本番でしくじるのかープレッシャーに強い人弱い人
(シアン・バイロック著、河出書房新社)P.40より


 1980年代の初め、心理学者のミシュレン(ミッキー)・チーの研究チームが、難しい問題を解くような状況で成功する学生と失敗する学生に見られる大きな違いは、問題について初めにどれだけの時間をかけて考えるかだということを発見した。(中略)

 大学の物理学の教授と後期博士課程の何人かの学生と、まだ一学期の力学を学んだだけの学部生数名に依頼して、何問かの物理の問題を解いてもらった(中略)予想どおり、教授や博士課程の院生のほうが、学部生よりも物理の問題を解くことには優れていた。

 しかし、おもしろいことに、物理の専門家はかならずしも学部生よりも速く解答していたわけではなかった。(中略)教授と院生は、問題を解き始めるのが、学部生よりも遅かったことにチーは気づいた。

 専門家は紙に鉛筆を走らせる前に手を止めていたのだ。彼らはしばらく問題の根本的な構造を見極め、物理のどの法則を使うのがいちばんよいか考えていた。一方、学部生は問題を解こうと飛びつき、そのために多くの人が苦労するはめになった。


 本書によれば、一学期の力学を学んだだけの学部生は問題のなかの重要でない細部に気をとられ、迷うことになりました。一方で、教授や院生は問題をうまく解くための鍵を見極め、細部に気を取られて迷うことはなかったといいます。

 このように「問題に着手する前に一歩離れてみること」は、関係のない情報やつまらないミスによって間違った方向へ進むのを防ぐうえで非常に役立ちます。

 大きなプレッシャーのなかで難しい問題を解き始める前に一度手を止める。そうやって状況を判断する。実際、問題から数分間、離れてみるだけでも、より適切な解決方法が見つかりやすくなります。

 この「培養」期間によって、無関係な細部にとらわれていた関心をそらす。そして、代わりに新たな方法で考え、別の視点から見られるようになる。結果として「なるほど」とひらめく瞬間が生まれ、成功へと結びつけてくれるのです。


なぜ本番でしくじるのかープレッシャーに強い人弱い人
(シアン・バイロック著、河出書房新社)P.41より


 伝説的なギリシャの哲学者アルキメデスが、一歩離れることがもたらす威力を示した最初の人物かもしれない。

 ヒエロン二世のためにつくられた新しい王冠が純金製がどうかを調べるように命じられ、アルキメデスは答えを探そうと多くのプレッシャーを受けていた。(中略)王冠の問題に悩んだアルキメデスが答えを思いついたのは、その作業から離れて、それについて考えるのをやめてからだった。

 その日、風呂に入ったアルキメデスは、なかに入ると水位が上がることに気付いた。彼は物体(彼自身や王冠)によって置き換えられた水の量を利用することで、その物体の体積がわかると考えついた。


 実際、試験本番では限られた時間のなかで問題を解かなければなりません。ですから、問題から離れてみるという時間はそう多くは確保できないかもしれません。

 ただ、そんななかでも一度、ペンを置いてみる。立ち止まって状況を判断する。そうやって問題から離れてみるだけでも、より適切な解決方法が見つかりやすくなるのかもしれませんね。