赤面恐怖は現代人に多いと聞きましたが、現代特有の症状なのでしょうか?

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赤面恐怖は現代人に多いと聞きましたが、現代特有の症状なのでしょうか?



決して現代特有の症状ではありません。赤面恐怖が病気として認識されるようになったのは19世紀に入ってから(1864年)のことですが、赤面恐怖らしき記述は古代ギリシャの著作に見いだすことができます。






他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学(クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン著、紀伊國屋書店)P.63より


 <赤面恐怖>はいったいいつ頃から存在していたのだろう?実は古代ギリシャの高名な医学者であるヒポクラテスの著作に、すでにそれらしき記述を見いだすことができる。

 《その男は、明るい場所が苦手なようで、できることなら暗闇で生きたいと思っているらしい。何も悪いことをしているわけでもないのに、いつも帽子で顔を隠しているため、誰かを見ることも見られることもないのだ》

 ただ、ここでヒポクラテスは、顔が赤くなることの<恐怖心>について直接語っているわけではない。(中略)<赤面恐怖>らしき人物の<不自然な行動>について述べるにとどまっている。


 本書によれば「赤面恐怖」が病気として認識されるようになったのは、19世紀に入ってから。1864年、ベルリンの医師キャスパーによって初めてその存在が確認されました。

 100年以上も前の1909年にフランスの心理学者、精神科医のピエール・ジャネはその著作『神経症』の中で「赤面恐怖」について触れています。100年前に書かれたとは思えないほど、その本質をとらえた文章となっています。

 《赤面恐怖の患者は、誰かの視線、とくに異性の視線を感じると、顔が赤くなるのではないかという不安に襲われ、恥ずかしさゆえに本当に赤くなってしまう。どんあに赤くなるまいと努力しても無駄なのだ。それでも最初のうちは、意志の力で赤くなるのを少しは防ぐことができる。

 しかし、やがては恐れていた通りに真っ赤になってしまうのだ(中略)その結果、もともとは積極的で社交的な性格であったのに、どうしようもなく内気で人見知りな人間になってしまう。これでは普段の人づき合いはもちろんのこと、仕事上の対人関係もうまくいかなくなる。こうして彼は、このつまらない障害のせいで、人生をだいなしにしてしまうのである》

 別のよくあるご質問の中で、赤面恐怖に限らず、あがり症や対人恐怖といった社会不安も現代に限った話ではない。古代ギリシャの有名な長編叙事詩にも記述が残っていますし、18世紀の著名な思想家も書き記しているという話を紹介しました。

 現代人にも赤面恐怖の方は多いのかもしれませんが、赤面恐怖は古くから存在する普遍的な人間の悩みと言えます。