あがり症が治ると緊張や恥じらい等の心理は一切無くなりますか?

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あがり症や対人恐怖症が治ると、緊張や恥じらい、その他不安な心理は一切無くなるのでしょうか?


そういった心理が全くなくなるわけではありません。あがり症や対人恐怖が治るとは、普通の人と同様に恥ずべきことは恥じ、恐れるべきことは恐れる。対人恐怖を感じてもいちいちそれを強く意識するがなくなる状態をいいます。






森田療法のすすめ(高良武久著、白楊社)P.132より

 症状としての対人恐怖がなおっても、対人恐怖的な心理が全然なくなるわけではない。普通の人情としての遠慮や羞恥心、多数人の前での緊張などは、恐怖心がなおってもある程度はあるのがあたりまえで、もし全然なくなってしまったら図々しい恥知らずになってしまう。

 ただ、なおればそれにとらわれることなく、普通の人と同様に恥ずべきことは恥じ、恐れるべきことは恐れ、対人恐怖を感じてもいちいちそれを強く意識することもない。つまり対人関係を円滑に保っていく。


 あがり症や対人恐怖症を克服しても、緊張や恥じらい、その他不安な心理は一切無くなるわけではありません。

 あがり症や対人恐怖症ではない普通の人がそうであるように、過度に意識をすることなく“ごく自然な形で”、恥ずべきことは恥じる。恐れるべきことは恐れる。対人恐怖を感じてもいちいちそれを強く意識するがなくなる状態。これを俗にあがり症や対人恐怖症を克服した状態といいます。

 裏を返せば、「緊張や恥じらい、その他不安な心理を一切無くす」「100パーセントそういった感情を排除しなければならない」などということを考える必要はありません。あくまで、現状で過度に意識してしまっていることを軽減させること。本来の自然な形に戻すこと。これがあがり症や対人恐怖症を克服することといえます。


森田療法のすすめ(高良武久著、白楊社)P.180より

 対人恐怖症がなおるというのは、対人恐怖的とらわれがなくなるということであって、人間性としてあるべき対人的配慮や、ある程度の対人的緊張感などがまったくなくなることを意味するのではない。

 とらわれがなくなるということは、対人的苦痛に対する不断の予期恐怖が解消されて、日常生活における過度の緊張感がなくなること、対人恐怖的心理は正常人としてあるべき程度にもちながら、かならずしもそれを特別のこととして意識することなく、円滑に対人関係を保っていくことを意味する。