社会恐怖(社会不安障害)を放っておくと、どんな影響があるのでしょうか? |
社会恐怖(社会不安障害)が人生レベルで本人に及ぼす影響は非常に大きいといえます。
他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学(クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン著、紀伊國屋書店)P.159より <社会恐怖>が本人に及ぼす影響は非常に大きい。時には、その人の人生を大きく左右してしまうほどである。まず、<社会恐怖>の人は世間から誤解を受けやすい。つまり、本来のものとはまったく違う性格だと思われてしまいがちなのだ。(中略)
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本書では、社会恐怖(社会不安障害)が本人に対して及ぼす影響を大きく3つに分けて紹介しています。
1.社会恐怖の人は世間から誤解を受けやすい。
人間のコミュニケーションは言語以外の様々な要素から成り立っていると言われます。例えば社会恐怖の人は、誰か他の人と話をする時に緊張や不安のあまり顔がこわばってしまう。
そして、全くそんな人ではないのにもかかわらず、この硬い表情ゆえに「冷淡な人だ」と思われてしまう。また、自分の弱さを他者に見ぬかれないために距離をおいてしまうことが、他者からは「あの人はお高くとまっている」と思われてしまう、といったことがあります
2.職業を選択する際に影響を受ける。
本書では職業選択における影響を紹介しています。たとえば、同じ医療の現場を目指す場合、社会恐怖の人は麻酔医や放射線技師など、患者と直接対話する必要のない分野を選ぶ人が多いといいます。
当然、対人能力というのも、職業を見極める際の判断基準の一つにはなりえます。ただ、それだけを理由に(あるいはそれが理由の大部分を占め)、職業選択に影響を及ぼしてしまうのは考えものです。
3.妄想症(パラノイア)とみなされるようになってしまう人もいる
妄想症とは、偏執病(へんしゅうびょう)とも呼ばれ、精神病の一種で、体系だった妄想を抱くものを指します。
社会恐怖の人は「他人は自分に厳しい評価を下すはずだ」と思い、「もし私の弱さがバレてしまえば、きっと攻撃され、軽蔑され、嘲笑される」と信じこんでしまう。このようにして、細かいことにいちいち意味づけをするために、しまいには妄想症(パラノイア)とみなされるようになってしまう人もいます。