プレッシャーを克服しようとしても集中モードに切り替えできません。

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いざ本番を迎えると、そのプレッシャーを克服しようとしても本番モードというか、集中モードになかなか切り替えることができません。何かいいアドバイスはありますか?




決まり切った一連の手順を踏むプリショット・ルーティンやプリプレー・ルーティンを活用してみてはいかがでしょうか?




本番に強くなる メンタルコーチが教えるプレッシャー克服法
(白石豊著、筑摩書房)P.47より


 “スイッチが入る”という意味は、いざというときに脳が集中できるようになるために、プレッシャーがあってもパフォーマンスが発揮できるということである。

 つまり、集中モードに切り替わるということなのだが、本来そうした切り替えは前頭葉が行っているために、意図的には難しいとされてきた。

 しかし、(脳科学者の)茂木さんは多くのプロたちは、次のようなことをして意図的に集中モードにアクセスしているという。それは、“本番前の決まり事をつくる”ということである。

 この事例としては、佐野俊二(小児心臓外科医)、そしてイチロー(プロ野球選手)らが、手術やプレーに入る前に決まり切った一連の手順を踏んでいくことで、集中モードのスイッチが入るようにしていると説明している。


 本書で紹介されている、この“本番前の決まり事”は、スポーツ界においては、プリショット・ルーティンやプリプレー・ルーティンなどと呼ばれており、すでに1980年代にはメンタルコントロールの重要な要素としてトレーニングメニューに組み込まれていたといいます。

 本書で紹介されているイチロー選手の例で言えば、

 イチロー選手は、チームメイトの誰よりも早くスタジアムに入り、試合の準備に取りかかりる。そして試合後は、自分でグラブを磨きながら一人でその日のゲームを振り返る。朝ごはんは少し前までは毎日カレー、最近では食パンとそうめんのみ(という噂)。また、スタジアムに踏み入れる足を決めていることや、他人のバットに触れないことなど、どこまで本当かは本人しかわかりませんが、一連のルーティーンをもっていることで有名です。これはまさにプリプレー・ルーティンの典型です。

 さらに言えば、イチロー選手は守備から攻撃への切り替えでも、より細かいプリプレールーティンを活用しています。

 打席に入り、バットを高く前に立てる。まずバックスクリーンを見て、それから高く立てたバットの先、最後に自分の肩のあたりを見て目のピントを打席でボールをとらえる状態に持っていき集中を高める。あの独特の構えは「守備で遠くのボールを見ることに慣れた目を、打席で体に近い場所でボールを見る目にするための儀式」だと言います。

 これもまさにプリプレールーティンといえます。また、同じく大リーグで活躍した松井秀喜選手も本番で100%の力を出すため「試合前のロッカールームで、必ずおにぎりを二個食べる」というプリプレー・ルーティンを活用しています。

 本書で紹介されているとおり、集中モードへの切り替えは、本来“私たちの意識の外側”で前頭葉が行っているために、意図的には難しいとされてきました。しかし、プリプレー・ルーティンやプリショット・ルーティンを使うことにより意図的に集中モードへ切り替えているプロのスポーツ選手たちもいます。

 あなたも、本番前に決まり切った一連の手順を踏むこの方法活用してみてはいかがでしょうか?