プレッシャー克服のために緊張を客観視することが重要だと聞きました。

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私は大事な試合や大事な試験を前にすると、強いプレッシャーを感じて焦ってしまい、普段通りの自分を出し切ることができません。こんな時、プレッシャー克服のために緊張を客観視することが重要だと聞きました。詳しく教えてください。





大きな試合や本番を前に緊張しない人間などいません。ただ、その“緊張との付き合い方(とらえ方)”がメンタルコントロールの達人と一般人とに違いを生み出しているのです。





本番に強くなる メンタルコーチが教えるプレッシャー克服法
(白石豊著、筑摩書房)P.50より


 ステップ1「おう、来たか」と言ってみる

 プレッシャーがかかってくると、私たちの心や体にさまざまな反応が出てくる(中略)脚が震える、手足が冷たい、反対に頭がボーっと熱い、筋肉が硬くなる、視野が狭くなる(視野狭窄)、心臓がドキドキする、唇がかわく、お腹が痛くなる、吐き気がするなどである。

 プレッシャー克服法の第一ステップは、こうした反応が自分の体に現れたら、まず「おう、来たか」と言ってほしいのである。もちろん、必ず「おう、来たか」と言わなければいけないわけではない。「来た、来た」でも「いらっしゃい」でもかまわない。

 プレッシャーによって先ほどのような生理反応が起これば、たいていの人は「うわー、どうしよう」とうろたえてしまう。ところがそう言わずに、「おう、来たか」と言えば、それだけでプレッシャーを一歩突き放して客観的に見ることができるようになる。

 そんな簡単なことで変われるものかと思うかもしれないが、この効果は抜群である。


 本書で紹介されるとおり、プレッシャーがかかる、強い不安や緊張を覚えるとそれは身体的な特徴(生理反応)となって身体に現れます。

 別のよくあるご質問でも、

 「いま自分はすごく緊張している」と感じたら、「緊張してラッキー。このあと思いっきりリラックスできるじゃん」と考えれば、そのとおりになる。逆に「緊張してマズイ。なんとか緊張を解かなきゃ」と焦ってしまうと、ますます緊張が解けなくなってしまう。

 という話を紹介したことがありますが、身体的特徴や生理反応で「今、自分自身が緊張している(プレッシャーを感じている)」と思う。こんな時、重要になるのが“その状況を客観視する”ということです。

 上記のFAQでも紹介しましたが、(脳科学的にみて)人間の脳はその仕組み上、ずっと緊張を続けることはできません。緊張すればするほど、アドレナリンやドーパミンが出れば出るほど、それを抑制するために勝手にセロトニンが放出されるためです。

 ですから、ここで重要なのは身体的特徴や生理反応によって、緊張をさらに加速させてしまう、あるいは焦って取り乱してしまう、といったことをせず“その状況を客観視する”ことなのです。

 プロのアスリートの中には大きな試合前のコメントで

「このビッグゲームの緊張感を楽しみたい」や

「今は決勝戦を前に心地良い緊張感に包まれています」

 などというコメントをする方がいます。これも一つ“自分自身の緊張を客観視している典型例”とも言えます。トーナメントの決勝戦や、メダル決定戦など、大きな試合や本番を前に緊張しない人間などいません。ただ、その“緊張との付き合い方”がメンタルコントロールの達人と一般人とに違いを生み出しているのです。

 彼らはその緊張感を客観視して楽しむ。あるいは心地良いものだとすら感じてしまう。結果として、本書に紹介されているようにプレッシャーを一歩突き放して客観的に見ることができるようになる。脳科学的に言えば、平常心を保ってくれるのがセロトニンがしっかりと放出される状態になる。そうして強いプレッシャーのなかでも高いパフォーマンスを維持することができるのです。