私はあがり症(社会不安)ですか、それとも社会恐怖でしょうか?

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あがり症や内気の延長線上に社会恐怖があると聞きました。私は今現在どこにいるのかわかりません。人前で話すのは苦手ですが、私はあがり症(社会不安)なのか、それとももっと重い社会恐怖なのか、どちらなのでしょうか?





何の躊躇もなく昇進を断るか、あるいは無二の親友から頭を下げられても、決して仲人など引き受けない、といった問いに対する反応が見極める材料のひとつとなります。





他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学(クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン著、紀伊國屋書店)P.153より


 <社会恐怖>とは、ある特定の状況において激しい怖れを感じる病である、とすでに述べた。(中略)

 まずひとつ目は、<単一性の社会恐怖>。これは、ある特定の状況においてのみ強い不安を感じる<社会恐怖>で、もっとも頻繁に見られるのが「人前で話をする」のを怖れるパターンである。もちろん、その不安の強さ、回避行動の度合いは<あがり症>をはるかに上回る。

 たとえば、<単一性の社会恐怖>の人は、部長に昇進することで会議で発言させられるとしたら、何の躊躇もなく昇進を断ってしまうだろう。また式場で挨拶をさせられるとわかったら、たとえ無二の親友から頭を下げられても、決して仲人など引き受けないにちがいない。


 別のよくあるご質問で、症状の重さで言えば、社会恐怖>社会不安(あがり症、内気、回避性人格障害)、そして、日常生活に支障をきたす度合いでいっても、社会不安>社会不安となる。「社会不安の症状が悪化(深刻化)した延長線上に社会恐怖がある」という話をしました。

 ご質問を頂いた方は「自分自身が今現在どこにいるのかわからない」とのことでしたが、本書で紹介されている判断基準が、自分自身があがり症(社会不安)なのか、より重い社会恐怖(社会不安障害)なのかを判断する材料の一つとなります。

 本書では「部長に昇進することで会議で発言させられるとしたら、何の躊躇もなく昇進を断ってしまう。式場で挨拶をさせられるとわかったら、たとえ無二の親友から頭を下げられても、決して仲人など引き受けないにちがいない」という基準が紹介されていますが、この“何の躊躇もなく”や“無二の親友が頭を下げても決して引き受けない”という点が重要です。

 一般的に、昇進を打診されれば多くの社会人がそれを喜んで受け入れますが、社会不安(あがり症)の方は昇進によってもたらされるリスクを前に躊躇します。とくに昇進によって人前で話をする機会が増えるようであれば、得られるメリットとデメリットを天秤にかけて判断しようとします。

給与が増えるかもしれないけど人前で話す機会が増えてしまう。

昇進で親は喜ぶかもしれないけど、誰かを指導する立場にもなる。

 といった具合です。ただ、この場合でも“何の躊躇もなく”というわけではなく、自分なりに考えを整理して判断を下そうとしています。人によっては数日〜数週間かけて昇進するか否かを考えるかもしれません。この場合、躊躇していますので比較的軽度の“あがり症(社会不安)”であり、まだ社会恐怖にはいたっていないと考えることができます。

 一方で、これらのメリット、デメリットを天秤にかけることなく即座に昇進を断ってしまう。数日の猶予があったとしても打診されたその瞬間に提案を断ってしまう、それくらいに症状が進んでいる場合は社会恐怖(社会不安障害)の可能性があると考えていいでしょう。

 式場の場合も同様です。一般的には無二の友人の門出を祝う、しかもそんな親友に頭を下げて頼まれてしまえば断ることはできません。しかし、そんな提案に対してもきっぱりと断ってしまう。決してその大役を引き受けようとしない。この場合は、同様に社会恐怖(社会不安障害)の可能性があると考えるのが自然です。

 この問いだけで一概に判断することはできませんが、参考にして頂ければと思います。