インターネットで調べていると「あがり症に精神安定剤がいい」という内容をよく見つけます。これは本当ですか? |
結論から言うと、あがり症をはじめとする社会不安に対して精神安定剤を投与する例は少なくなりつつあります。
他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学(クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン著、紀伊國屋書店)P.217より まず、結論から言うと、<社会不安>に対して精神安定剤を投与する例は少なくなりつつある。その理由を説明しよう。
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インターネットで「あがり症 精神安定剤」について調べてみると、確かに「精神安定剤であがり症を克服できる」というような記述を多く見かけます(ただその多くが情報のソースが不明ですが…)。
ただ、本書でも紹介されているようにあがり症をはじめとする社会不安に対して精神安定剤を投与する例は少なくなりつつあります。「精神安定剤を服用したからといって、他人と積極的に関われるようになれるわけではない」というのがその大きな理由です。また、上記の理由以外にも、精神安定剤には様々なリスクがあるので注意が必要です。
1.リバウンドリスク
精神安定剤であるベンゾジアゼピンはその服用を途中でやめてしまうことで、回避性の性格傾向が強くなったり、より強い不安を感じたりすることがあります。これは、いわゆるリバウンドとよばれるもので服用前の状態に戻ってします、あるいはより状態が悪化してしまうというリスクがあります。
2.依存性が高い
精神安定剤は依存性が高く、長期間服用していくと当然ですがその効果が薄れていくという欠点があります。
本書によれば、こうしたさまざまな理由によって、次第にあがり症をはじめとする社会不安に対してベンゾジアゼピンが処方されることはなくなってきており、現在では重度の“全般性の社会不安”や“社会恐怖(社会不安障害)”に対して以外、医師がこの薬を処方することはまずないと言われています。