なぜ人間は様々な恐怖症になってしまうのでしょうか?

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高所恐怖症や閉所恐怖症、暗闇恐怖症など様々な恐怖症がありますが、そもそもなぜ人間はこういった恐怖症になってしまうのでしょうか?




一部の研究者の説によると、こうした恐怖症のほとんどは、人類が生き延びる必要性から生まれたものだといわれています。




他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学(クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン著、紀伊國屋書店)P.191より


 一部の研究者の説によると、こうした<恐怖症>のほとんどは、人類が生き延びる必要性から生まれたものなのだという。彼らによると、あらゆる<恐怖症>はふたつのタイプに分けられる。

 それは、人間が多くの危険と背中合わせに暮らしていた時代の記憶に起因する<恐怖症>と、それ以降に生まれた<恐怖症>である。そして、最初に挙げた<恐怖症>のほうが、人類が後世に受け継いできた遺伝的要素が大きく、発症率も断然高いと言われている。


 別のよくあるご質問のなかで、公共の場でパニック発作を起こした人が、その場所そのものに恐怖心を抱く、あるいは場所を訪れること自体に強い不安や緊張を感じる。こういう状態になってしまうことが“広場恐怖”であると紹介しましたが、広場恐怖の人は家の外へ出ることに強い怖れを感じる傾向があります。

 本書によれば、これは“人類の祖先が敵や猛獣から身を隠す洞穴の外で出ることへの恐怖に起因している”と考えられています(これは暗闇恐怖や、ある種の動物に対する恐怖心にも当てはまります)。また、あがり症をはじめとする社会不安についても同様のことが言えます。

 はるか遠い昔、いにしえの時代に見知らぬ人間に突然出会うということが、真の意味で身の危険をもたらしていた時代がありました。そう考えると、たとえばパーティ会場や交流会において居心地の悪さを感じるのは、たった一人で多くの敵と対峙したことへの恐怖の記憶によるかもしれないと考えることができます。

 また、初対面の相手に対して気おくれしてしまうのも、敵か見方がわらない相手を警戒するためと考えれば自然です。他人の前で不安を感じるのは、実際に恐ろしい目に逢ってきた人類の記憶がそうさせるのかもしれません。