私は睡眠不足ですが、緊張対策に睡眠が重要だというのは本当ですか?

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私は管理職ですが、こんな年齢になっても大事な場面で強い不安や緊張をおぼえ、あがってしまいます。忙しさを理由に充分な睡眠をとることができていませんが、緊張対策に睡眠が重要であると聞きました。これは本当ですか?





質のよい睡眠を心がけることが最良の緊張対策であることは間違いありません。




「緊張」から自分を救う本 アガリ症を逆手にとる方法
(松本桂樹著、大和書房)P.152より


 大事な場面で緊張してしまわないために、準備やリハーサルも役に立ちますが、それよりももっと大きいのは、実は「体調を整えておく」ことです。(中略)

 体調を整えるためにいちばん役に立つのは、誰でも知っている当たり前の方法なのですが、前の晩にぐっすりとよく眠ることです。栄養と消化のいい夕食を早めにとって、カラダをくつろがせて、質のよい睡眠を心がけてください。

 準備やリハーサルも大切ですが、睡眠のほうがもっと大事ですから、そういう意味でも、準備はほどほどのところで区切りをつけて、ぐっすり寝てしまいましょう。


 別のよくあるご質問のなかで、あがり症の方の緊張対策としては、やはり万全な準備が効果的である、という話を紹介したことがありますが、それよりももっと大きいのは、実は「体調を整えておく」ことなのです。

 これも別のよくあるご質問のなかで紹介しましたが、人間は睡眠というプロセスを通じて、からだを休め、脳を修復しているといわれています。しかし睡眠がうまく取れず、からだや脳のリカバリーができないと、脳は反応的に副腎皮質ホルモン、アドレナリン、ノルアドレナリンといったホルモンをたくさん分泌させます。

 アドレナリンやノルアドレナリンは「戦闘ホルモン」と呼ばれるもので、闘う、もしくは逃走するといった非常事態に適応するために分泌されます。心臓はドキドキと高鳴り、血圧は上がり、血糖値も上がります。緊張の汗が全身にふき出し、からだも熱くなってきます。 ちょうど人前でスピーチをしたり食事をしたときと、まったく同じからだの反応が起こってくるわけです。

 あがり症をはじめとする社会不安の傾向にある人は、セロトニンのはたらきが悪いために、昼間にしっかりした覚醒ができません。また、交感神経がいつも緊張しているため、夜になってもからだが眠る態勢に入りません。このため、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、早朝に目が覚めて眠れない、眠りが浅いといった「睡眠障害」におちいりやすいと言われています。

 しかし、体調を整えるためにいちばん役に立つのは、本書でも紹介されているように“前の晩にぐっすりとよく眠ること”です。質のよい睡眠を目指すことが、結局のところ最良の緊張対策となり得るのです。

 では質のよい睡眠を目指すにはどうすれば良いでしょうか?これには、いくつかの方法があります。


「緊張」から自分を救う本 アガリ症を逆手にとる方法
(松本桂樹著、大和書房)P.153より


 うまく眠れないという人は、日頃から、起きる時間と寝る時間を、だいたいでいいので固定することです。

 よく「昨夜はたっぷり10時間眠れた」「3時間しか寝られなかった」と睡眠時間の長さを気にする人がいますが、それよりも、起床と就寝の時間帯を決めてパターン化し、習慣づけていくことのほうがもっと大事です。

 夜は毎日だいたい同じくらいの時間にベッドに入るようにして、朝は少し眠くても、6時なり7時なり、決まった時間に起きてベッドから出る。このようにカラダの習慣にしてしまえば、だんだん眠りも安定してきます。


 また、本書で紹介されている以外にセロトニンを増やすというのも睡眠の質を高める非常に有効な方法です。

 セロトニンが不足すると、脳の生物時計が正常でも睡眠・覚醒のリズムが乱れます。一方で、「午前中に光を浴びる」、「リズムのある運動を20〜30分続ける」といったことを習慣にしていくだけでも、セロトニンがが強く、自律神経が整って体調が良くなることにつながります。またセロトニンを補給できる健康食品を利用するというのも効果的です。