緊張の原因や犯人探しをしがちです。負のスパイラルを抜ける方法はありますか?

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私はたぶんあがり症だと思いますが、大事な場面で緊張すると、ついその原因や犯人探しをしてしまいます。結局、原因や犯人探しをしても解決につながらず、ネガティブな考え方になってしまうのは理解しているつもりですが、この負のスパイラルを上手く抜け出す方法はありますか?







アメリカを中心に心理療法の現場では広く実践され、不安や恐怖、トラウマなどに対して大きな効果をあげている「ソリューション・フォーカスト・セラピー」の中心哲学を取り入れてみてはいかがでしょうか?






「緊張」から自分を救う本 アガリ症を逆手にとる方法
(松本桂樹著、大和書房)P.136より


 自分をつらくしない3つの約束(中略)

 大切な、基本的な考え方は、次の三つです。

①うまくいっているなら、そのやり方を変えようとしないこと。

②うまくいったら、その方法を繰り返すこと。

③うまくいかないなら、何か別の方法でやってみること。

 当たり前のように聞こえるかもしれません。でも、その「当たり前」のことをやってみるのが、とても大切なのです。


 本書によれば、この考え方はアメリカを中心に心理療法の現場では広く実践され、不安や恐怖、トラウマなどに対して大きな効果をあげている「ソリューション・フォーカスト・セラピー」と呼ばれているものの、三つの基本原則だといいます。

 ソリューション・フォーカスト・セラピーは、ソリューション・フォーカスト・ブリーフ・セラピー(Solution Focused Brief Therapy)やソリューションフォーカストアプローチ(Solution Focused Approach)とも呼ばれ、直訳すると、解決志向アプローチ、または解決志向短期療法となります。

 別のよくあるご質問で、「認知行動療法」の理念に関しては精神分析療法派と認知行動療法派、両者のあいだで長年議論がされており、精神分析療法派は「どうしてそうなったのか、その原因や理由がわからないまま症状だけ治しても、ちょっとしたきっかけで再発してしまう」といい、一方で認知行動療法派は「それなら、精神分析療法派は本当に原因を取り除いていると言えるのか?治療の効果の有無を判断する基準さえ定められていないくせに」と反論する、という話を紹介したことがありますが、

 ソリューション・フォーカスト・セラピーは、ここでいう前者の原因や理由を追求したがる従来の心理療法諸派とは異なり、後者の原因の追究をせず、未来の解決像を構築していく点に特徴(類似点)があります。そしてこのアプローチは結果的に短期間で望ましい変化が得られるとされています。

 このソリューション・フォーカスト・セラピーの中心哲学にあるのが、本書でも紹介されている

うまくいっているのなら、変えようとするな。

もし一度やって、うまくいったのなら、またそれをせよ。

もしうまくいっていないのであれば、違うことをせよ。

 です。あがり症など緊張しやすい人は、緊張することでいつもつらい思いを繰り返すうちに、

いったい何が悪いのだろうか。

どうして自分はこうなってしまうのだろうか

 と、ついつい「原因」や「犯人」探しをしてしまいがちです。でも、そうやって“原因や犯人探しをすること"や、“失敗要因をより下げようとする”ことをしても、なかなか解決策を導き出すことはできません。結局のところ、自分自身を責める方向に行き着いてしまうのです。

 そうではなく、①うまくいっているなら、そのやり方を変えようとしないこと。②うまくいったら、その方法を繰り返すこと。③うまくいかないなら、何か別の方法でやってみること、これが非常に大切です。