私はあがり症ですが、友人や家族の前だと変に意識して特にあがってしまいます。

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私はあがり症ですが、知り合いや友人、家族が見ている前で何か疲労しようとすると、変に意識して特にあがってしまいます。プロスポーツ選手などは家族や友人が観に来ていることで、その日のパフォーマンスが上がるようにも思えます。私はおかしいのでしょうか?






決しておかしなことではありません。ごく自然なことです。これは、自意識が高くなってしまうことによってもたらされるものです。




 ご質問頂きましたとおり、よくプロスポーツ選手は

家族が見ている試合でホームランを打つ

家族や子供が見ている試合でゴールを決める

 そんなことをやってのけます。これは家族や友人が観ている前で、彼らがそのパフォーマンスをより高めていることを意味します。家族や友人が観ていることで、通常よりも高い集中力や責任感を発揮する。彼らにはそんな能力が備わっているのかもしれません。

 ただ、これをそのまま普通の人間に当てはめてしまうのは少し乱暴です。


なぜ本番でしくじるのかープレッシャーに強い人弱い人
(シアン・バイロック著、河出書房新社)P.234より


 心理学者は何年も前から、パフォーマンスを行なう人の前に鏡を置いたり、ビデオで撮影したりすると自意識が強くなる、つまり自分自身やその行動をより意識するようになることを知っていた。

 こうしたことは観客の前でパフォーマンスを行わなければならない事態でも起こる。何よりも興味深いのは、観客が応援していて友好的であればあるほど、パフォーマンスを実行する人はより自意識が高くなることだ。

 確かに、友人や家族、あるいは応援する一般の観客に自分の最高のパフォーマンスを見てもらうことはかなり満足感のあることだ。とはいえ、大失態を犯している姿を応援してくれる人たちに見られることは、より苦痛を伴うことも忘れてはならない。

 もちろん、人前にでると張り切る人もいる。目立ちたがりで人が見ていると一段と熱が入り、観客の興奮を糧とし、もてはやされることでさらに能力を発揮する人だ。それでも、平均すれば、その反対のことが言えるようだ。


 本書で述べられているように

パフォーマンスする人の目の前に鏡を置く

パフォーマンスする人をビデオで撮影する

観客の前でパフォーマンスを行なう

 こういった場面においては、自分自身やその行動をより意識する(自意識が高くなる)ことが明らかになっています。

 一流のプロスポーツ選手のように、この自意識が高くなることがそのまま自分自身のパフォーマンスを上げることにつながる人々もいます。ただ、一方で大半の人々は、友人や家族の前で見られることによって、その自意識が逆の効果を生んでしまうこともしばしばです。

 知り合いが自分のパフォーマンスを観ていることで、いつもより余計に意識してしまう。その意識が悪い方向に働いて力みやいらない緊張を生んでしまう。結果としてパフォーマンスを著しく落としてしまう。こんなことはよくあります。これは、決しておかしなことではありません。ごく自然なことです。


なぜ本番でしくじるのかープレッシャーに強い人弱い人
(シアン・バイロック著、河出書房新社)P.237より


 応援者の前で、人はなぜチョーク(※)するのだろうか?

 考えすぎることの危険という問題に、ここでまた行き着く。友人やコーチ、チームメイト、同僚、あるいはファンに腕前を見せたいと思うと、できるかどうかが不安になる。そのような不安に対処するために、私たちはよく事態を掌握しようと試みる。(中略)

 練習ではフリースローを85%成功させるバスケットボール選手でも、勝敗を決めるフリースローははずすかもしれない。ボールをゴールに入れようとして、自分の手首の角度やボールを放すタイミングに神経を集中させ始めるからだ。

 何千回もフリースローを練習したあとでは、こうしたことは通常、バスケットボール選手が気にすることではない。そして(中略)実行能力に支障をきたすようになる。


 ※チョークとは息が詰まる、という意味から転じて、緊張して硬くなる、失敗するの意。 ふだん無意識のうちにやっている行動について、考えすぎた場合に起こる。「分析による麻痺」と呼ばれるもの。