自己評価が高すぎることのデメリットはありますか?

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あがり症を改善していくうえで自己評価を高めていくことが一つ有効な方法のように思いますが、自己評価が高すぎることでデメリットになることはないのでしょうか?




危険に対する警戒心が小さくなって思わぬ失敗をすることや、失敗をしたあとに反省を忘れ、自分の悪いところを改善する機会を失ってしまうといったデメリットがあります。




 あがり症と自己評価は非常に密接な関係にあり、あがり症を改善していくうえで重要なポイントの一つとなるのが自己評価です。自己評価の低さは、あがり症をはじめとする社会不安と密接な関係にあることが研究によって証明されています。

 別のよくあるご質問のなかでも自己評価を高めていく重要性を紹介しています。では、この自己評価、が高すぎることにデメリットはないのでしょうか。


自己評価の心理学 なぜあの人は自分に自信があるのか(クリストフ・アンドレ、フランソワ・ルロール著、紀伊國屋書店)P.67より


 自己評価が高すぎると危険に対する警戒心が小さくなって、思わぬ失敗をすることがある。

 特に誰かと争う状況ではそうなることが多い。自己評価の高すぎる人は敵を見くびり、まわりの人間の忠告にも耳を貸さないからだ。ラ・フォンテーヌの寓話にある<ウサギと亀>の話がそのいい例である。

 自己評価の高いウサギは相手を見くびり、途中で昼寝をしてついには亀に負けてしまったのだ。


 本書にあるように自己評価が高すぎるデメリットの一つに

危険に対する警戒心が小さくなって思わぬ失敗をする

 というものがあります。

 プロスポーツの世界では、格下相手に強豪が敗れることや、下馬評を覆してダークホースがトーナメントを勝ち進むことがあります。これは自己評価が過度に高すぎる選手(やチーム)が対戦相手をリスペクトせず、見下す(甘く見る)結果として起こります。まさに、思わぬ失敗をして番狂わせが起きてしまうのです。

 また、自己評価が高すぎるデメリットは、危険に対する警戒心が小さくなって思わぬ失敗をするだけにとどまりません。


自己評価の心理学 なぜあの人は自分に自信があるのか(クリストフ・アンドレ、フランソワ・ルロール著、紀伊國屋書店)P.67より


 相手を見くびって失敗するだけではない。

 自己評価が高いことの不都合は失敗をしたあとにも表れる。(中略)確かに自己評価の高い人は失敗に強い。だが、それは失敗の原因を自分以外のところに求めることができるからでもある。

 すなわち、<失敗をしたのは自分のせいではない>と考えるのだ。

 しかし、そういったことを繰り返していると、いつのまにか反省を忘れ、自分の悪いところを改善する機会を失ってしまう。(中略)

 自己評価の高い人は、自分にとっては耳の痛い、だが、考えようによっては非常に有益な情報を見落としてしまいがちなのである。


 組織に依存せず、安定収入であるはずの給与所得を捨てる。世の中には、そうやってサラリーマンから独立して自ら会社を起こす人がいます。

 起業する人というのは、「自分一人で何かを成し遂げよう」と思う人が多くいます。そんなことを考えているわけですから、一般的にいって自己評価が高く、自分に自信を持つ傾向が強いといえます。

 ただ、経営者のなかには、自己評価が強いあまり、イエスマン(従順な追従者)ばかりを周りに集めてしまう。独裁者のように自分の意見を突き通して会社を経営する。こんな会社は多くあります。確かにスタートアップや会社の規模が小さいうちは、それでも上手くいくかもしれません(むしろ創業時はこのほうがビジネスは上手くいきます)。

 しかし、会社の規模が大きくにつれて、そのやり方にも限界が訪れます。

 気付けば社長一人ではどうすることもできない窮地に追い込まれてしまう。しかし、周りには客観的なアドバイスをしてくれる人間もいなければ、そのアドバイスを素直に聞ける自分自身でもない。

 結果として、会社は路頭に迷ってしまう。こんなことはよくあります。これも自己評価が高すぎるデメリットの一つといえます。