精神交互作用とはいったいどういう意味ですか?

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あがり症関連の情報を探している時に“精神交互作用”という言葉を見つけました。これはいったいどういう意味なのでしょうか?



ある感覚に対して、過度に注意が集中することでますますその感覚が拡大されてしまうことです。




「緊張」から自分を救う本 アガリ症を逆手にとる方法
(松本桂樹著、大和書房)P.48より


 大事な会議で自分が発表するときや、失礼があってはいけない相手との食事の席などで、「緊張しないように」「緊張してはいけない」と思えば思うほど、ますます緊張してしまったという経験はないでしょうか?

 その一つの理由として、「精神交互作用」と呼ばれる現象があります。

 たとえば、緊張すると顔が赤くなる人がいます。「今日は大事な会議だから、顔が赤くならないように」と思うと、意識が自分の顔に向いて、周りの目が気になってきます。(中略)これではいけないと思えば思うほど、よりいっそう人目を意識して、ますます顔が赤くなります。

 カラダの反応(顔に血が上って赤くなる)と気持ち(緊張しないように、顔が赤くならないように)が、悪い方向に循環して、自分でコントロールできなくなってしまうのです。


 本書で紹介されている症状は、「他人に見られる」ことに関係してすぐに顔が赤くなってしまうことや、自分の意志で赤面を治す(コントロールする)ことができず、治そうとすればするほど(意識すればするほど)、ますます赤くなってしまうという赤面恐怖の傾向がある人の典型例です。

 この「ますます◯◯してしまう」というのが精神交互作用を理解するポイントとなります。

 別のよくあるご質問のなかで、いったん恐怖を経験すると、次に同じような機会があれば、「きっと自分は、また同じようにみっともないことになってしまう」と考えてしまい(予期不安)、その考えはまた恐怖を呼び起こす。これがよけいに緊張を大きくしてしまう、という話を紹介したことがありますが、

 ここで言われている、「また同じようにみっともないことになると考えて、その考えがまた恐怖を呼び起こす。これがよけいに緊張を大きくしてしまう」という部分がまさに精神交互作用を表しています。

 神経質に対する精神療法として有名な森田療法においては、「精神交互作用」を『ある感覚に対して、過度に注意が集中すると、その感覚はより一層鋭敏になり、その感覚が固着される。つまりその感覚と注意が相互に影響しあってますますその感覚が拡大される精神過程を示したもの』と定義しています。

 このように、ある感覚に対して過度に意識してしまう。それがよりいっそう感覚を鋭敏にする。結果としてどんどん(多くの場合マイナスや負の)スパイラルに入ってしまう、これを精神交互作用といいます。