緊張やプレッシャーが高まる場面でパフォーマンスを維持する方法はありますか? |
それほど重要ではないと再解釈することで、プレッシャーを取り除く。そうやってパフォーマンスを、良好なものに変えられる可能性があります。
なぜ本番でしくじるのかープレッシャーに強い人弱い人 重要な試験を受けるあいだ、その状況があまりストレスのない、能力をそれほど試されているのではないものとして、あるいはさほど「食うか食われるか」の状況ではないと再解釈することで、自分にかかっているプレッシャーをいくらか取り除ければ、お粗末になる可能性があるパフォーマンスを、良好なものに変えられるかもしれない。
|
※ワーキングメモリーとは“頭脳の馬力”のこと。
本書では、フランスの心理学者グループが、プロヴァンス大学の学生にパズル問題を解いてもらう実験が紹介されています。
プロヴァンス大学の学生の一部は、「この作業は数学と科学における全般的な成功と関連する知性と推理力を測るもの」だと説明され、残りの学生には「このパズル問題は注意力と知覚力を測るもの」だと説明されました。
前者の説明を受けた学生は、「この作業をうまくこなせなければ、科学の道に進むのは向いていない」と考えられるため、この説明によって明らかに強いプレッシャーがかかりました。一方で、後者の説明を受けた学生はこの作業は大した評価に値するものではないので、そのパフォーマンスを気にする必要はありませんでした。
結果はというと、このテストに“重要な意味付け”され、プレッシャーのある状況にさらされた頭脳馬力(ワーキングメモリー)の多い学生は、最も少ない人と同レベルまで下がってしまいました。
本書でも述べられているとおり、目の前の重要な場面を
あまりストレスのないものと再解釈する
能力をそれほど試されているのではないものと再解釈する
さほど「食うか食われるか」の状況ではないと再解釈する
などといったことで自分にかかっているプレッシャーをいくらか取り除く。こうすることでお粗末になる可能性があるパフォーマンスを、良好なものに変えることができます。
再解釈の方法は様々あります。極端な例をあげれば、
ワールドカップ優勝を決めるPKを、居残り練習でのそれと再解釈する。
自分の進路を決定づける試験を、毎日解く過去問題集と再解釈する。
などこういった再解釈(あるいは置き換え)をする。変に意味付けをし過ぎない、といったことができれば、平常心を取り戻してパフォーマンスを維持することができるわけです。
別のよくあるご質問のなかで、普段は非常に優秀な成績を残す人間(ワーキングメモリーの多い人)が、プレッシャーや強い緊張を感じる本番になるとそのパフォーマンスを著しく下げてしまうという話を紹介したことがありますが、
同様に、とりわけ頭脳馬力(ワーキングメモリー)の多い能力の高い人の場合はこういった再解釈や置き換えが非常に効果的となります。