社会恐怖(社会不安障害)になると、別の精神疾患の合併症を招いてしまうと聞きました。どんな合併症を招いてしまうのでしょうか?教えて下さい。 |
ある研究によると、社会恐怖の人たちのおよそ70%が他の障害にも苦しんでいるといいます。
他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学(クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン著、紀伊國屋書店)P.162より ある研究によると、社会恐怖の人たちのおよそ70%が他の障害にも苦しんでいるという。
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社会恐怖(社会不安障害)の人たちのおよそ70%が他の障害にも苦しんでおり、本書ではそのうち頻度が高い3つの症状が紹介されています。
1.広場恐怖症
別のよくあるご質問の中で、電車やバス、学校や映画館など大勢の人がいる公共の場でパニック発作を起こした経験のある人が、その場所そのものに恐怖心を抱く、あるいは場所を訪れること自体に強い不安や緊張を感じる。こういう状態になってしまうことを“広場恐怖”と言うということを紹介しました。
社会恐怖の方が苦しんでいる他の障害の中でもっとも頻度が高いのがこの広場恐怖だといいます。広場恐怖症は、発作を避けるために家に引きこもりがちになる。結果として対人関係を怖れる社会恐怖と結びつきやすい病気のひとつになっています。
2.アルコール依存
飲酒の量が多い人には社会不安や社会恐怖を抱える人が多い。これは、アルコールには強い抗不安作用(不安な気持ちをやわらげる作用)があるため、飲酒をすることで、不安や緊張、恥ずかしさを抑えることができると思われているためだという話を紹介しました。
広場恐怖症の次に頻度が高いのがこのアルコール依存です。ただ、上記のページでも紹介させて頂きましたが偽薬(プラシーボ)を使ったある研究では、アルコールには、社会恐怖を治療する効果も、コミュニケーション力を向上させる効果もほとんどないことが証明されています。
3.タバコ依存
本書によれば、三千人以上を対象に長期間にわたって追跡調査したドイツの研究では、思春期に社会不安(あがり症、内気)を強く感じていた人は、後にタバコ依存に陥ってしまう危険性が高いことが証明されています。