あがり症の人はそうでない人よりも、失敗から立ち直るのが難しいと聞きました。なぜあがり症の人は失敗から立ち直るのが難しいのですか? |
「あがり症の人≒自己評価の低い人」と考えた場合、あがり症の人が失敗から立ち直るのが難しいのは事実です。その理由は三つの側面から考えることができます。
あがり症と自己評価は非常に密接な関係にあり、あがり症を改善していくうえで重要なポイントの一つとなるのが自己評価です。自己評価の低さは、あがり症をはじめとする社会不安と密接な関係にあることが研究によって証明されています。
「あがり症の人≒自己評価の低い人」と考えた場合、あがり症の人が失敗から立ち直るのが難しいのは事実です。
自己評価の心理学 なぜあの人は自分に自信があるのか(クリストフ・アンドレ、フランソワ・ルロール著、紀伊國屋書店)P.44より 自己評価が低い場合、人は失敗から立ち直るのが難しい。
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なぜ、あがり症の人(自己評価の低い人)は失敗から立ち直るのは難しいのでしょうか。本書によれば、それは「行動」、「心理」、「感情」の三つの側面から説明できるといいます。
1.行動面
以前、自己評価が肯定的なものであれば、比較的安定した気分で過ごし、物事を積極的に行ったり、困難にも勇気を持って立ち向かうことができる、という話をしましたが、
“行動”という側面からみると、自己評価の高い人は比較的早めに別の行動に移ることができ、それが気分転換になって失敗を忘れてしまうことができます。これが自己評価の高い人が失敗から立ち直るのが早い要因の一つです。
一方で、自己評価が低い傾向にあるあがり症の人は、なかなか別の行動に移ることができない。結果として気分転換できず失敗から立ち直るのが難しくなります。
2.心理面
“心理”という側面からみると、自己評価の高い人は物事を相対化して見ることができるので、たったひとつの失敗で全人格的に自分の価値が下がったと思うことはありません。これが自己評価の高い人が失敗から早く立ち直る要因の一つとなっています。
一方で、自己評価が低い傾向にある、あがり症の人はたったひとつの結果をすべてだと思い込んだり、ものごとを極端に一般化してしまうという特徴があります。これが失敗から立ち直るのを難しくしてしまいます。
3.感情面
“感情”という側面からみると、自己評価の低い人は普段から否定的な感情にとらわれていることが多く、そこに失敗した悲しみが加わるので、憂鬱な気分からなかなか抜け出せなくなってしまいます。