あがり症をはじめとする社会不安を克服するための方法としてエクスポージャー法が有効だという話を聞きました。エクスポージャーの評価方法とその継続について詳しく教えて下さい? |
以下を参考にしてみて下さい。
他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学(クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン著、紀伊國屋書店)P.229より エクスポージャーを行った後は、その結果をできるだけ細かく評価することが大切だ。この際、最初の目標は決して高くしすぎず、段階的に上げていくことが重要になってくる。 たとえば、人前で話をすることがまったくできない人に対して、最初から「十分間、落ちついて雄弁に話をすること」という目標を設定するのはどう考えても無理な話だろう。相談者がエクスポージャーを低く評価して、一気に自信を失ってしまうことにもなりかねない……。 |
社会不安を抱える人が何かから逃げ続けている限り、その怖れをなくすことは決してできません。そこで、あえて不安を感じる対象に立ち向かっていくことでその不安を軽減しようというのがこのエクスポージャー法です。
エクスポージャー法の具体的なステップとしてエクスポージャーの準備と実践の後に取り組むのがこのエクスポージャーの評価とその継続です。
別のよくあるご質問のなかで、不安を感じる場面をリストアップし、不安度の強いものから弱いものへと並べることで、はじめから難易度の高い場面に取り組んで挫折することなく、より難易度の低いものから順に克服していくことができるようになる、という話を紹介したことがありますが、本書で紹介されているような“人前で話をすることがまったくできない人”の場合、最初は、
「他人の意見に対して賛成の意志を示してみる」や
「小さな声で構わないので声に出して質問してみる」
といった目標設定にしておくのが妥当です。そしてここでのポイントは、エクスポージャーの内容はどうであれ“実践者が実際に人前で話ができたのかどうか?”という点です。
こうした経験を少しずつ積み重ねる。この過程で少しずつ不安というものがやわらいでいきます。落ちついて発言できたかどうかはこれらの過程が進む中で判断していけばよいのです。
このように、最初にあらかじめ予定しておいたエクスポージャーのプログラムが終了する頃には、予定していた以外の状況においても相談者が能動的にエクスポージャーを実行できるようになってくるはずです。