コミュニケーション能力を上げればあがり症は克服できますか?

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コミュニケーション能力を上げればあがり症は克服できますか?

社会能力を伸ばすことで、苦手な状況をコントロールできるようになるのは事実です。



 別のよくあるご質問のなかで、社会能力とは「私たち一人ひとりが過去の経験において築き上げてきた他人とのつきあい方(行動様式)のことで、社会能力が高い人ほど、効果的で、適確で、好感度の高いコミュニケーションができる」と紹介しました。

 また、ここでは「社会能力は、あがり症をはじめとする社会不安と密接に関わっていることが多い」ということもお伝えしました。

 あがり症をはじめとする社会不安を感じることで、この社会能力が低下してしまう人がいます。たとえば、とても仲がよく気兼ねなく話せる友人と一緒にいる場合はおもしろい話がどんどん浮かんでくる、笑顔で次々とおしゃべりを展開できる。一方で、会社の上司や取引先、先輩や先生など目上の人を前にすると途端に無口になってしまう人がいます。 これは明らかに“社会不安を感じることで、社会能力が低下しています”。

 また反対に社会能力の低さがあがり症をはじめとする社会不安の原因になってしまう場合もあります。


他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学(クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン著、紀伊國屋書店)P.241より


 レストランでの正しいマナーを知らない人は、テーブルにずらりと並べられたフォークとナイフを見ただけで、心臓が早鐘を打ち、汗だくになってしまうだろう。

 <社会能力>が低い人は、もっと日常的にこういう状況に置かれている。彼らが<社会不安>を感じるのは、マナーを知らない人と同じように、その状況でどういう行動をとればよいかわからないためなのである。


 想像して欲しいと思いますが、あなたがもしコミュニケーションの達人だったとしても、あなたが“その空間の作法を知らない場”に放り出された場合はどうでしょうか。

 例えば茶道未経験の方が、いきなり茶をたてるように言われてもどうしていいかわからず冷や汗をかいてしまうはずです。また、あなたが少し背伸びをして初めて高級寿司店に行った場合、あなたはカウンターでいったいどうやって寿司を食べたらいいのかわからず、一貫の値段もわからない寿司を食べるのにいちいち心臓がドキドキしてしまうはずです。

 本書で紹介されているとおり、社会能力が低い人は、もっと日常的にこういう状況に置かれています。彼らが、あがり症をはじめとする社会不安を感じるのは、マナーを知らない人と同じように、その状況でどういう行動をとればよいかわからないためなのです。一方で、これはこうも考えることができます。

 つまり、マナーさえ知っていれば高級レストランや茶道、値札のない高級寿司店が怖くなくなるのと同じように、社会能力を伸ばすことで、苦手な状況をコントロールできるようになります。

 高い社会能力を身につけることは、エクスポージャーをクリアできることにつながりますし、結果的に私たちのスキーマ(絶対的信念)を変えることにだってつながるのです。