認知療法のプロセスを具体的に教えて下さい。

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認知療法のプロセスを具体的に教えて下さい。

認知療法を行うプロセスは、大きく次の三段階に分けることができます。



他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学(クリストフ・アンドレ、パトリック・レジュロン著、紀伊國屋書店)P.253より


 認知療法を行うプロセスは、大きく次の三段階に分けることができる。

第一段階ーー不安を感じた状況で思ったことを書きとめてもらう
 まず、医師は相談者に、不安を感じる状況に置かれた時にどのようなことを思ったか、書きとめておくよう指示する。(中略)

第二段階ーー相談者の思いこみを指摘する
 医師は、先のメモを見ながら相談者の思いこみを指摘し、ものの見方について一緒に話し合っていく。(中略)

第三段階ーー<スキーマ>を明らかにし、それを修正する
 <社会不安>を感じる人は、(中略)ある特定の状況に置かれると、心の奥で眠っていた<スキーマ>が急に活発に動き始め、強い不安をもたらす考え方をしてしまう。


 別のよくあるご質問のなかで、認知行動療法とは、その人のものの見方(認知)と行動様式を変えるための治療法であり、あがり症をはじめとする社会不安の改善に関しては認知行動療法の信頼性がもっとも高いことが明らかになっているという話をしたことがあります。

 この認知行動療法の中でも非常に重要なポイントとして「ものの見方・考え方を変える」いわゆる認知療法と呼ばれるものがあります。この認知療法ですが本書で紹介されているとおり、そのプロセスとして大きく次の三段階に分けることができます。


第一段階 不安を感じた状況で思ったことを書きとめてもらう

 あがり症をはじめとする社会不安を強く感じる人の思考の傾向としては、主に三つのタイプに分けることができます。

 ひとつは「自分自身に対する思いこみ」です。これは、自分の身体反応(赤面、手の震え、発汗など)や、欠点(教養がない、気の効いたことが言えないなど)を他人に気づかれてしまうという思いこみです。

 もう一つが「他人の評価に対する思いこみ」です。自分自身の身体反応や欠点について「周りの人々は低い評価をくだすだろう」。あるいは「きっと私と接して無能なやつだと思われたに違いない」といった具合です。

 そして最後が「他人の反応に対する思いこみ」です。「他人は自分のことをひどく低く評価した結果、自分には答えられないような質問をするなど、自分にとってきっと不愉快で不都合な反応をしてくるにちがいない」という思いこみです。


第二段階 相談者の思いこみを指摘する

 あがり症をはじめとする社会不安を感じる人は、客観的な事実と自らの思いこみを取り違えてしまうことが少なくないといいます。たとえばそれは「私が自分のことを無能だと思うのだから、私は無能であるにちがいない」や、「私が気づまりを感じているのだから、他人にもそれが気づかれているはずだ」といった具合で勝手に思い込んでしまうのです。


第三段階 <スキーマ>を明らかにし、それを修正する

 社会不安を感じる人は、ある特定の状況に置かれると、心の奥で眠っていたスキーマが急に活発に動き始め、強い不安をもたらす考え方をしてしまいます。スキーマは、自らに完璧さを求めたり、「〜しなくてはならない」と自らを厳しく律したりする絶対的信念のことですが

 本人はその存在に気づいていいないことが多いといいます。そこで、医師は相談者と話し合いながらこの存在を浮き彫りにし、修正していく必要があるのです。