自己評価の低い人は話すスピードや返事が遅かったり、慎重な物言いいをすると聞きました。なぜ自己評価が低い人は話すスピードや返事が遅いのですか? |
大きく三つの理由があると考えられます。
あがり症と自己評価は非常に密接な関係にあり、あがり症を改善していくうえで重要なポイントの一つとなるのが自己評価です。
別のよくあるご質問のなかでも紹介しましたが、一般的に言って、自分のことについて話すことや、何かを決断する場合、自己評価の低い人は慎重になりがちです。
では、なぜ自己評価の低い人は、話すスピードや返事が遅くなってしまうのでしょうか?
自己評価の心理学 なぜあの人は自分に自信があるのか(クリストフ・アンドレ、フランソワ・ルロール著、紀伊國屋書店)P.35より 何かの問題にぶつかって解決策を見いだそうとする時、自己評価の低い人は高い人に比べて時間がかかる。
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1.自分のことを知らないから
以前、大リーガー松井秀喜選手の緊張しない秘訣は「自分の100%」を知ることである、という話を紹介したことがあります。
松井選手は自分が出来ることと出来ないこと、自分がコントロールできることと自分がコントロールできないことを普段から把握することによって、緊張やあがりに打ち勝って高いパフォーマンスを発揮していたと紹介していました。
自分について知ることと、自信を持つということは、それほどかけ離れているものではないのです。
一方で、自己評価の低い人は往々にして“自分のことをよく知らない”傾向にあります。自分の性格や能力を把握していないため、目の前に置かれた質問や問題の解決策が自分の中にあるとは思いません。
そのため、まずは他の人の出方をうかがう。他の人がどう振る舞うかを見極めてから、自分もそのやり方に従おうとする、といった傾向にあります。これが時間がかかってしまう原因の一つです。
2.社会的な評価を気にしすぎるから
以前、あがり症をはじめとする社会不安を強く感じる人の思考の傾向として、「他人の評価に対する思いこみ」や「他人の反応に対する思いこみ」といった偏った思いこみがある、という話を紹介しました。
自己評価の低い人も同様に(特に自分について話をする場合)、社会的な評価を気にしすぎる傾向があります。気にしすぎるあまり、自分については中立的な話し方をしがちです。これも慎重な物言いいになる理由です。
3.自分や他人に嘘をつきたくないから
また、上記と少し似た理由で、自己評価の低い人は「自分や他人に嘘をつきたくない」という気持ちも持っています。自分のことを誰かに伝える際に、ニュアンス(言葉などの微妙な意味合い)まできちんと伝えようとする。そのため、断言を避けた慎重な言い方になったり、回答に時間がかかってしまうのです。