自分を肯定的に見るとはどういうことでしょうか?

あがり症克服方法  > よくあるご質問(FAQ)  > 自分を肯定的に見るとはどういうことでしょうか?


自分を愛すること、自分を肯定的に見ること、自信を持つことが自己評価の三本柱であることはわかりました。このうち、自分を肯定的に見るとはどういうことでしょうか?




ネガティブ過ぎず、ポジティブ過ぎるわけでもない。自分の長所や短所を判断したうえで、自分自身に対して正しく、的を射ている評価を与えること。これが「自分を肯定的に見る」ということです。






自己評価の心理学 なぜあの人は自分に自信があるのか(クリストフ・アンドレ、フランソワ・ルロール著、紀伊國屋書店)P.18より


 <自分を肯定的に見る>。<自分の長所や短所を判断したうえで、自分に肯定的な評価を与えること>、これが<自己評価>の二本目の柱である。

 だが、ここで大切なのは、その判断に客観的な根拠があるかどうかではない。そうではなく、これが自分の長所や短所だ、能力や限界だ、と判断するのにどこまで確信を抱いているか、そのほうが問題になる。

 その意味では、客観的な要素よりは主観的な要素のほうが重要な役割を果たすのである。(中略)

 自分に対して肯定的な見方ができるのであれば、それは心のなかでひとつの大きな力となって、たとえ逆境にあっても、自分の<時>が巡ってくるのを待つことができる(中略)

 その反対に、自己評価が低く、自分に対する見方が控えめだったり、あるいはもっと言って否定的だったりすると、自分の進む道を決めるのにも遠回りをすることになりかねない。


 別のよくあるご質問のなかで、プロスポーツ選手は高いエフィカシー(自己評価)を維持することで緊張やあがりをコントロールしている、という話、そして、あがり症をはじめとする社会不安とエフィカシー(自己評価)は密接な相関関係にあることが研究によって証明されている、という話を紹介したことがあります。

 また、どんな自己評価を抱いているのかによって物事を積極的に行ったり、困難にも勇気を持って立ち向かうことができる、という話も紹介しました。

 これらのFAQをみてもわかるように、“あがり症を改善していくうえで重要なポイントの一つとなるのが自己評価”です。

 そして自己評価における三本柱のうちの一つが「自分を肯定的に見る」ことです。

 本書では、「自分を肯定的に見る」を「自分の長所や短所を判断したうえで、自分に肯定的な評価を与えること」と定義しています。

 “肯定的”という言葉を辞書で調べると「そのとおりであると同意するさま」とあります。さらに“そのとおり”という言葉を調べてみると、「見解を承けて、その内容が正しく、的を射ていることを表明する表現」とあります。

 つまり「自己を肯定的に見る」ということは「自分の長所や短所を判断したうえで、自分自身に対して正しく、的を射ている評価を与えること」とも言い換えることができます。

 ネガティブ過ぎず、ポジティブ過ぎるわけでもない。自分の長所や短所を判断したうえで、自分自身に対して正しく、的を射ている評価を与えること。これが「自分を肯定的に見る」ということです。

 そして、本書で述べられている重要なアイデアが「その判断に客観的な根拠があるかどうか(は重要ではなく)、その判断するのにどこまで確信を抱いているかのほうが問題になる」という点です。

客観的な要素よりは主観的な要素のほうが重要な役割を果たす

 これが非常に重要なアイデアとなります。

 以前、自信の大きさは過去の実績(客観的な要素や根拠)に比例せず、自分自身のセルフイメージ(主観的な要素、確信を抱くこと)と比例する、という話を紹介したことがあります。これと同様に、自己を肯定的に見る場合も、客観的な要素よりは主観的な要素のほうが重要な役割を果たすのです。

 本書にあるように、自分に対して肯定的な見方ができるのであれば(客観的な要素や根拠とはあまり関係なく)それは大きな力となる。逆境に耐えることができる。一方で、自分に対して肯定的な見方でできなければ、自分の進む道を決めるのにも遠回りをすることになりかねないのかもしれません。