あがり症をはじめとする社会不安と自己評価が関係性がある、というところまでは理解しているつもりです。ただ、自己評価という言葉の概念(イメージ)が多様過ぎていまいちわかりません。 |
自己評価の概念がカバーする範囲は広く存在しますが、それらの様々な側面も大きく三本の柱に分けて考えることができます。
自己評価の心理学 なぜあの人は自分に自信があるのか(クリストフ・アンドレ、フランソワ・ルロール著、紀伊國屋書店)P.14より <自己評価>の概念そのものについては、まだきちんとしたイメージがつかめないという方も多いかもしれない。
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別のよくあるご質問のなかで、プロスポーツ選手は高いエフィカシー(自己評価)を維持することで緊張やあがりをコントロールしている、という話、そして、あがり症をはじめとする社会不安とエフィカシー(自己評価)は密接な相関関係にあることが研究によって証明されている、という話を紹介したことがあります。
また、どんな自己評価を抱いているのかによって物事を積極的に行ったり、困難にも勇気を持って立ち向かうことができる、という話も紹介しました。
これらのFAQをみてもわかるように、“あがり症を改善していくうえで重要なポイントの一つとなるのが自己評価”です。
ただ、“自己評価”とひと言にいっても、実際、自己評価の概念がカバーする範囲は広く存在します。本書にもあるとおり日常生活でよく使われる言葉だけを考えてみても、「自分を信じる」や「自信を持つ」、「自分に満足する」など、これらは全て自己評価に関係する表現といえます。
本書のなかでは、これらの自己評価に関する様々な側面も大きく下記の三つに分けられるといいます。
この三つが自己評価の三本の柱であり、この三つが調和のとれた状態が、理想的な自己評価を持つために欠かせない要素だといいます。
これは言い換えれば、「この三つがバランスよく組み合わさった時に、人は安定した自己評価を抱くことができる」とも言えます。
自己評価の3本の柱
自分を愛する | 自分を肯定的に見る | 自信を持つ | |
柱ができる要因 | 子供の頃に両親などがから、どのくらい、またどんなふうに<愛情の糧>を受けたか | 両親から期待され、自分の能力を信じてもらえたか(ただし、その期待が実際の能力に比べて過剰ではなかったか) | 挑戦してみる、根気よく続ける、失敗を受け入れるなど、<行動>するための基礎を学んだか |
力が備わると | 感情的に安定する。他の人との関係がうまくいく。批判されたり、拒絶されたりした時に持ちこたえることができる。 | 将来に対して積極的な目標を掲げ、それに邁進することができる。障害にぶつかってもくじけない。逆境に耐えることができる。 | 日常生活のさまざまな局面で、気軽に、またすばやく行動することができる。失敗してもくじけない。 |
十分でないと | 自分が人から愛されるとは思えない。何をするにも自分には決してうまくいかないと考える。たとえ成功しても、自分がつまらない人間のように思える。 | 人生に関わる選択で積極性に欠ける。他人の意見に左右されやすい。自分が決めたことを粘り強く続けることができない。 | 行動することができなくなる。さんざん迷ったすえに行動しても、うまくいかないとすぐにあきらめる。粘りがない。 |
自己評価の心理学 なぜあの人は自分に自信があるのか(クリストフ・アンドレ、フランソワ・ルロール著、紀伊國屋書店)より